nach meiner Meinung

「わたしの意見では」。主にジェンダー領域に関わるような話を、学問レベルには足りないくらいのところで書いていきます。

シリーズ拡大解釈2・マンガのブス表現が辛すぎる件と、みなさんへ質問

電子コミック、読む?

まさかの2回目ありました。シリーズ拡大解釈です。

このブログも当然そうですが、ネットを閲覧してると、広告が出てきますよね。
スマホで見ると、電子コミックの広告がよく出てきます。
わたしは、これ、結構読んじゃうほうです。
課金はしたことないですが、最近は1巻まるごと無料で読めたりしますよね。
最近の広告は、検索や閲覧などの履歴から、そのひとに合った広告を出して来たりするので、わたしのところには、自分が読んだのと似たようなジャンルの広告が多く出てきます。

ひとつは、社会派のやつ。こういうのですね。

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んで、もうひとつは、これ内容というより、広告の切り口としてこういう切り取り方があるんじゃないかなと思っているんですが、「ブス」訴求のもの。
こういうやつです。

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Twitterをご覧頂いている方はもうご存知かもしれませんが、わたしは重度の外見コンプレックスを抱えておりまして(これまでの記事でも少し触れたかとは思いますが)、
なので、こういう広告を出されると、見ざるを得ない。
そして、「ブス」の側に最大限感情移入して、辛くなるわけです。

 

ナツメさんはいかに感情移入するか

もちろん上の2作品も読みました。無料の範囲ですが。
特に、上の『親なるもの 断崖』は辛かった…。

  • 『親なるもの 断崖』

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広告に出てくる、「地獄の郭」のシーンは無料の範囲には出てこないし、そもそもこの「醜女」とされている子は、本編ではあまり重要な役どころじゃない。でも、それゆえにさらに悲しいじゃないですか。

これは、昭和初期に青森から北海道の遊郭に売られてきた4人の少女の話なんですが、この4人の構成というのが、別嬪、別嬪、別嬪、ブスなんですよ。
もはやこの時点でブスの子にしか感情移入できない。

しかも、冒頭10ページ目くらいの回想シーンが、いきなりひどい。
別嬪のうちのひとりが、自分は最初から「売り物」として育てられたと怒りをにじませながら嘆くんですが、それを聞いてブスの子は自分が売られた時のことを思い出す。
裸に剥かれて値踏みをされて、その値を聞いた父親が娘にこう言う。

「この親不孝者めが! おめえはたった九十円にしかならねえ体だと!
 顔もまずい 体もずんぐり こったら女に育ちやがって この親不孝者!」

それに対し、娘は「父ちゃん 母ちゃん すまねっす」と謝るんですよ。


よし、死のう!!!


鬱すぎて明るくなっちゃったよ。

顔もまずくて体もずんぐり、90円にしかならない体なんて、若い盛りに男の人に触れたいとすら思われなかったわたしが、他人ごとと思えるわけがない。
むしろわたしは(現代の)90円ですら売れないかも…女の部分で金銭価値が発生するとは思えない。皿洗いとしての方がまだ価値がある。
脱線しましたが、もう、我がことのように辛いわけです。

別嬪の3人も、美しいがゆえに女としての困難や苦痛が次から次へと降りかかるんですが、いかんせんこちらは醜いので、同じ土俵にも上がれていない。
はあ、大変だなあ、辛いんだろうなあとは思う。悲しいなあとも思う。でもね、感情移入できない、というか、「してはいけない」という感覚になるんですよ。
醜いわたしが、人並みやそれ以上に、「男に求められ/搾取される(“彼女達”の言葉で言えばだが)」ことに対して、共感してあまつさえ同情するなんて、なんて図々しいんだ、鏡を見てみろ! と、頭のなかで誰かが言うんですね。

一方でブスの子の方は、さらに共感せざるを得ないことになる。それが広告の、「女郎になりてえ!」という部分。

女郎になあ…なりてえよなあ…。

売春、という呼び方は不適切と言われるかもしれませんが、それが、いかに辛いか、大変か、やらずに済むならならない方がいいか、そういうことがたくさん言われているのは知っているし、実際に辛い思いをしてる人もたっくさんいるんだろうと思う。
でもね、醜くて、女として見られない人間にとっては、なによりも憧れる仕事なんですよ、それは。
わたしはAV女優とか風俗嬢とか、めちゃくちゃ尊敬していると言うか、人間としても価値がわたしの何億倍もあって、ヒエラルキーにしたらばわたしは最下層の中の最下部で、彼女たちは雲の上の存在だと思ってる。
「女である」という職業、肩書き、それがあれば女として見られて、相場よりとんでもなく低かったとしても、金銭的価値が発生するならば、そこで生まれて初めて、「女で生まれた意味/価値」が自分にあると思えるじゃないですか。
だから、女が、特に醜い女が自ら「女郎になりたい」と言うこのシーンは、すごく意味があると思う。

なんだけど、この子の話はメインにはならなくて、だから、余計悲しいですよね。
わたしにはこの子のストーリーしか共感できないけど、作者、ないし想定される読者はそうじゃないんだな、美しい女たちの苦痛がわかる、それに対して自分が何かを思うことすら許されないなんて思わないんだなと。

 

  • 『オーダーメイド』


2個目の「オーダーメイド」は1話が前後編になってるもので、広告に載っているのは第1話の後編のストーリーです。

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軽くネタバレになりますが、この作品は、1本500万の「オーダーメイド」AVを、注文した人の話と、その裏側で、なんらかの理由があり別人に整形しオーダーメイドAVに出演する女の話が一組になっています。
広告の話は「裏」側で、バナーにある通り、醜い容姿で、友達も恋人もいない女が、難病になり余命わずかと宣告されます。そこに、整形してAVに出たい人募集というメールが来て…という、まあ、導入はかなりご都合主義ではあるのですが、彼女の動機もまた、どうせ死ぬならセックスがしたい、というもの。

わっかる…。


ネタバレが続きますが、整形して美しくなり、撮影で初めてのセックスを体験した彼女は、治療費が欲しいからではなく、「もっとセックスがしたいから」、この仕事をずっと続けるという決意をします。
毎回骨格レベルで整形をするので、続けるとどうなるかわからない、と言われても、それでもいい、と。

(正直、1回目の手術で綺麗になったんだから、それこそ普通のAVに出るとか風俗やるとか、あるいは普通に彼氏作ることだってできると思うのですが、それは野暮なので突っ込まないようにします)

そうやってつぎはぎだらけの身体になってもセックスを求める彼女を見て、オーダーメイドAV制作会社のメンバーの女性(ヘアメイク担当)がいう台詞があるんですね。

「ブスに生まれるってカワイソー」

ああ、かわいそうなんだ、わたしって、やっぱり。
と、思ってしまいました。
別にこのキャラや作者に対して怒ってるわけではなく、ああ、やっぱりなと。
わたしは整形するほうのキャラに完全に同化してしまっているので、彼女への評価=自分への評価(もそんなもんだろう)と。

ただ、一方で、みんなは「ブス」の方に共感しないのか? とも思います。
それは、「ブス」キャラの描き方が、わたしの移入度に比較してあまりに軽く、他のキャラの方が厚く描かれていると感じることや、さっきの「カワイソー」のような、共感して読んでたら結構刺さる言葉が、やはりかなり軽いタッチで使われてることなどから、そう思うわけですね。

上記2つは比較的シリアスに「ブス」を描いていましたが、笑いの対象として描かれる「ブス」を見ると、もっとわかりやすいかもしれません。

 

笑っていいブス?

たとえばこれ。

とあるフリーターの日常09

このページの最後に「ブス」の女の子が出てきます。
ちなみにですが「可愛い女の子」の登場シーンはこれ。

とあるフリーターの日常14

これ、この「ブス」の子のくだり、笑えるんですかね…?
わたしは笑えないんですよね、ああ、こう思われてるのか、やっぱり…と、ここでも。
やっぱり、怒ったりってことはないんですが、しょんぼりはします。
この、点数つけるやつ恐いですよねえ。わたしマイナス5億点くらいだと思われてるよきっと…。

というか、やはりマンガの世界観て、女性向けにしても男性向けにしても、女の子って「可愛い」か「ブス」かしかいないですよね。
女性向けはほぼ全女性登場人物が「可愛い」ですね。男性向けには、こうやって「可愛い」子と「ドブス」が出てくることが多い。
これは、マンガだからなのか、現実もそういう切り取り方で見る人が多いのか…どっちなんですかね。

 

皆さんに質問

このブログ初の、読者のみなさんへの質問で終わりたいと思うのですが、
マンガで「ブス」の子が出てきたとき、どんな風に感じるものなんでしょうか。
わたしみたいに感情移入するのか、笑うのか、あまり気にしないのか。
わたしの文章も相当偏ってると思うので、それに対しての感想でも構いません。
このブログ、そもそもとてもコメントしづらいと思いますが、是非お気軽に。
Twitterでもお待ちしております。